本記事では日本の牛の種類と、スーパーの精肉コーナーの牛肉の表示の見方について解説していきます。
日本の牛の種類は?
現在、日本全国で約440万頭の牛が飼育されています。
牛は、肉牛と乳牛に大別できます。
牛のうち、乳牛は、白黒模様のホルスタイン種が全体の99%を占め、他にはジャージー牛も少しですが飼われています。
一方、肉牛のうち、おいしい和牛として有名な黒毛和牛が約160万頭いますが、黒毛和牛の他に、褐毛和牛、日本短角和牛、無角和牛といった種類もいます。
黒毛和種(Japanese Black)
体は黒褐色で角を持っています。和牛と言えば、黒毛和種と言っても過言ではありません。
日本古来の在来種(中国、近畿地方で飼われていました)と外国の牛を交配させ、日本人の味覚に合わせて品種改良され、昭和時代に黒毛和種としてブランドが確立されました。
飼育方法の工夫によって、筋肉の間に脂肪が入る、いわゆる「霜降り肉」になります。
この日本人の味覚に合った特別な肉質を持つ黒毛和種は、松阪牛、神戸ビーフ、但馬牛、近江牛、前沢牛など日本を代表するブランド牛です。
全国各地で飼育され、それぞれ工夫を凝らしたおいしい和牛になっています。
褐毛和種(Japanese Brown)
体は黄褐色で、角を持っている和牛です。黒毛和種より大型です。
朝鮮半島から日本にやってきた在来種(九州、熊本で飼育されていた)と外国の牛を交配させ、日本人の味覚に合わせて品種改良された肥後牛ですが、褐毛和種としてブランドが確立されました。
肉質は、赤みが多いため、ヘルシー志向の方に人気です。
日本短角種(Japanese Short Horn)
体は赤褐色で、角を持っている和牛です。寒さに強く、放牧に適しているため、東北地方や北海道で飼われています。
東北地方で飼われていた在来種(南部牛)に、外国の牛を交配させ、日本人の味覚に合わせて品種改良され、日本短角種としてブランドが確立されました。
日本短角種は放牧適性が高いうえに、粗飼料の利用性にがあり、雌牛は産乳量に優れていて、子育ても上手いのも特徴の一つである。
肉質は、黒毛和種に比べると赤みが多いです。
無角和種(Japanese Poll)
体は黒褐色で、角を持っていません。早く育つのが特徴です。
日本古来の在来種(山口県阿武町)に外国の牛を交配させ、日本人の味覚に合わせて品種改良され、無角和種としてブランドが確立されました。
早く育つため、黒毛和種以上に飼育されましたが、霜降り肉ブームに押されて飼育数が減りましたが、最近のヘルシー志向で、脂肪分が少ない肉質が人気を集めています。
経産・去勢牛
オス 去勢・若雄
去勢されたオス「去勢牛」と去勢のされていない「若雄牛」に分かれます。
なぜ去勢をするのかというと、主に肉質を柔らかくすることと、群飼時での牛同士の競り合いを避けるのを目的としています。
種牛を除く雄牛は基本的に去勢される。
メス 未経産・経産
出産をしていないメス牛は「未経産牛」と、仔牛を産んだ『経産牛』に分かれます。
未経産牛の肉はキレイなあずき色をしていて、やわらかいうえに肉のキメが細かいといわれ、市場価格も一般的には高いです。
肉質として
雄牛より、雌牛の方がやわらかく肉質がきめ細かいそうです。
肉質の順番としては、
1. 未経産牛(出産していない雌牛)
2. 去勢牛(去勢された雄牛)
3. 若雄牛
4. 経産牛(何頭と出産しているメス牛)
5. 廃乳牛(年老いた牛)
の順番に良いと言われています。
黒毛和牛と国産牛の違い
スーパーの精肉コーナーで和牛・国産牛と表示されている牛肉を見たことがあると思います。
スーパーで売られている国産牛というのは、乳牛のホルスタイン種のオス、搾乳が終わったホルスタイン種のメス、和牛とホルスタイン種を掛け合わせた交雑牛です。
和牛として表示していいのは肉牛として育成された黒毛和種などで、国産牛と和牛で表示が違っていたのはこのためです。